【小説】真夜中のマーチ | 本を片手に街に出よう

【小説】真夜中のマーチ



奥田 英朗
真夜中のマーチ

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内容(「BOOK」データベースより)
 自称青年実業家のヨコケンこと横山健司は、仕込んだパーティーで三田総一郎と出会う。財閥の御曹司かと思いきや、単なる商社のダメ社員だったミタゾウとヨコケンは、わけありの現金強奪をもくろむが、謎の美女クロチェに邪魔されてしまう。それぞれの思惑を抱えて手を組んだ3人は、美術詐欺のアガリ、10億円をターゲットに完全犯罪を目指す!が…!?直木賞作家が放つ、痛快クライム・ノベルの傑作。
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 小学校や中学校のころ、男女3~4人の仲良しグループで学校を抜け出して遊んだりとか、いろんなイタズラの記憶がよみがえりました。

 あのころのアイツ、何してるかな~なんて、同窓会でも企画したくなっちゃうような読後感です。

 この物語は、10億円強奪をプロットの中心にしてはいるものの、もうひとつの主題は、生い立ちの全く違う個性的な3人の若者がお互いを利用しようと接近したのちに、チームを組むことになり、やがてかすかな友情とも言えるような人間関係を構築してゆくプロセスなのであります。

 3章構成で、1章はヨコケン、2章はミタゾウ、3章はクロチェの視点になっていて、それぞれの内面描写があるために、主役3人のキャラに深みがあります。

 やくざのフルテツや、ヨコケンのちょっとまぬけな舎弟アキラ、そしてクロチェの超まぬけな弟であるタケシ、孤高の美女クロチェが唯一愛するドーベルマンのストロベリーなど、脇役陣もいい味を出しています。
 この人の描く脇役はホント少ない出番であるにもかかわらず味がある人たちが多い。

 また主要登場人物を、あだ名でカタカナ表記することによって軽いタッチを出しています。ネーミングセンスがいい。黒川千恵=クロチェ、だもんね。

 さすがはアノ「伊良部」を創り出した奥田英朗。キャラ作りに関しては匠の技を感じさせます。


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