本を片手に街に出よう -61ページ目

【小説】アンドロイドは電気羊の夢を見るか?





著者: フィリップ・K・ディック, 浅倉 久志

タイトル: アンドロイドは電気羊の夢を見るか?





フィリップ・K・ディック(1977)。

「ブレードランナー」の原作で有名。



 誰もいない廃屋の描写がいい。放射能に汚染されて人間は皆死ぬか宇宙に逃げてしまった後の、荒涼としていて乾いた雰囲気が出ていると思う。

 ストーリーは人間と殆ど見分けのつかないアンドロイドと、それを取り締まる(狩る?)男の戦いなのだが、人間とアンドロイドの違いを軸に、主人公の苦悩や葛藤あり、ユーモアありで、一気に読める。

 生命に対して何の躊躇もしないアンドロイドが、それっぽくて怖い。



 映画とはだいぶ雰囲気が違うが、両方ともそれはそれで楽しめる名作。





BGM->KRAFTWEAK"Tour De France Soundtracks"2003

【小説】ラスコーリニコフの日

 雨は憂鬱だ。
 本当は、雨というよりも月曜日だから憂鬱なのだが。

 久々の休日が雨で外に出たくない状況であった為、以前読んだ本を読み返したりして過ごした。「ラスコーリニコフの日」佐々木 敏、2003年。

 この作品は、最近、容疑者が不起訴になったりして若干話題をふりまいている警察のえらい人が狙撃された事件や、ちょっと前にテレビを占領していた拉致国家に絡んだ陰謀を描いた小説で、膨大な情報に裏打ちされた、「本当にこういうことだったのか」と思ってしまうほどの現実感が、驚愕や怖さを感じさせる。
 他でも同様な感想を見かけるが、この人の作品はどれも映画にしたら、良いものが出来ると思う(但し日本の製作では駄目ですね…「中途採用捜査官」だけは「踊る~」を意識しているようだけど)

 作者が発行しているWebサイトやメルマガも面白い。また、最初の2作品「ゲノムの方舟」「龍のペルソナ」は文庫本サイズで再発売になった。

 世界史や国際政治、安全保障問題など、勉強にもなる。恥ずかしながら地政学という言葉はこの人の書いたものを見てその存在と意味を知った。

 読み始めると引き込まれて一気に読めてしまう。長雨には持ってこいだ。


BGM->a-ha"Hunting High and Low"1990
(最近音楽配信サイトで提供開始され、あまりに懐かしくて買ってしまった)




著者: 佐々木 敏
タイトル: ラスコーリニコフの日

THE WORLD IS YOURS

 仕事でお台場に行った。
 で、帰りは天気が良いので本来はバスで駅まで行くところを歩いていたら、映像がぐるぐる回る地球に遭遇。日本未来科学館というやつらしい。
 このスポット、入場500円で結構な未来が体験できそうである。
 デートに使えるかどうかは相手の嗜好次第だが。

 外から、でっかくて丸いディスプレイに地球や文字が表示されるものが目に付いた。GEO-COSMOというオブジェらしい。

 球体に字が浮かんでいるのを見ると、なぜか必ずアル・パチーノ「スカーフェイス」(1983)の最後に出てくる「THE WORLD IS YOURS」のシーンを思い出してしまう。
 スカーフェイスは好きな映画の1つで、典型的なギャング栄枯盛衰ものなのだが、アル・パチーノのチンピラぶりが素晴らしく(キューバ訛りがすごい!)、映画の雰囲気に浸れるという理由だけで、ゲームは殆どやらない自分が「GTA3」を買ってしまった。スカーフェイスのBGMを聞きながらライフルを撃ちまくり、最後は(警察に)ぼこぼこにされるというところがトニー・モンタナっぽくて一時期相当ハマった。
 続編のVice Cityも発売されたようなので、今度是非やろうと思う。
 (舞台がマイアミなだけに、更にスカーフェイスぶりに拍車がかかっていることと期待する)

 そんな事を考えながら見回すと、臨海副都心ってどことなくGTA3に出てくる街っぽいね。


BGM->Various Artists"Grand Theft Auto"2002

Scarface (Al Pacino) Soundboard…トニーモンタナのスラング集。

【小説】アルジャーノンに花束を





著者: ダニエル キイス, Daniel Keyes, 小尾 芙佐

タイトル: アルジャーノンに花束を





 ダニエル・キイス1966年。



 読書好きなら、或いは読書を好きになりたいならば、是非読むべき不朽の名作。

 SFであり、現実にはあり得ない物語なのであるが、何故か主人公に自分の人生を重ねて読めてしまう。

 白痴から天才に変わっていく主人公の、全てを手に入れそして全て失っていく様を通じて、いろいろと考えさせられる。テーマは重い。しかしいい読後感である。



 このような表現で綴られる英語を訳したにしては、素晴らしい翻訳である。今度原著も読んでみよう。

 最初の平仮名だらけの滑り出しはううむ、という印象。しかしそれが重要。諦めずに読んで本当に良かった。





BGM->m-flo"ASTROMANTIC"2004

(キラキラしてる感じで良い。CCCDなのがちょっと…)

地元の話…

 練馬、練馬、と書いておきながら練馬近辺の話題を一切書いていないことについさっき気づき、書くことにした(隣駅の話もまじってるけど)

 ねりまは、区の名前がついた街の割には、けっこうしょぼい。

 何となく商店街もさびしいし、何と言っても本屋好きの自分には、大きな書店がないのが致命的だ。

 最近は練馬駅もリニューアルして、ちょっと小奇麗になったのだが、それで過疎っぽい雰囲気にかえって拍車がかかったような気がする。

 治安の問題など、賛否はあると思うけど、学校(ビジネススクールとか)などを誘致して、若者がもっと集まってくるようにしたほうが良いのではないかと感じている。
 誘致場所は、北口にそびえたっている、バブル後遺症のような大きなハコものをぶっこわせば確保できると思う。
 ついでに、無駄なヘリポートがついている区庁舎も、バブルっぽくてちょっとむかつくので、区庁舎ビルは民間に払い下げて区役所は駅前にプレハブでも立ててやったら、よいと思う。

 写真は、たまや食堂。
 練馬駅から徒歩10分弱(!)の桜台駅北口にある。
 昔ながらのおかずバラ売りスタイルの定食屋さんで、味が良い(さば味噌が旨い)。

 こういう店がつぶれないように、若者や学生が多く住む町になると良いのだけど!


BGM->Linkin Park"METEORA"2003