【新書】起業するなら中国へ行こう! 北京発・最新ビジネス事情 | 本を片手に街に出よう

【新書】起業するなら中国へ行こう! 北京発・最新ビジネス事情



柳田 洋
起業するなら中国へ行こう! 北京発・最新ビジネス事情

 なんか最近、新書づいていますが、またしてもタイトルに釣られてしまいました。

 何かと脅威論だとか政治問題が煽られている関係で、「近くて遠い国」になりつつある中国ですが、かの国は現在、日本が歩んできた高度成長と酷似した状態を猛スピードで爆走していることは紛れもない事実。

 ここ1~2日間の上海の株暴落には一瞬「バブル崩壊?」と思いましたが…また上げてますね。もう1~2年、北京五輪までは意地で盛り上がり続けるかも知れません。

 なんてったって13億人。そんな国で起業すると成功した暁にはスゴイことになるんじゃあ!みたいな色気を誘うタイトルです。

 中国で実際に単身起業した著者だけあって、起業のいきさつは生々しい。オフィスの場所やら交渉するときの心構えとか食事情、教育事情に至るまで、生活感たっぷりのインサイド中国の紹介が多数。

 「そうか、そうだよね」と諭されてしまったのが、中国という国は13億人の巨大市場!ではなくて、極端な話、1億人の「日本人よりもよほど裕福な層」と、1~2億人の「中流層」と、10億人近くの「貧乏人」という極端な格差ピラミッド社会であるということ。
(数字は本に書いてあるのとは違うけど、たとえということで許してください)

 そういった意味では、アナロジーとして日本の高度成長期がよく引き合いに出されるが、中国のそれは本質的には違うんだなあ、と。

 そういう超格差ピラミッド社会においては、平均所得とか、そういう指標値が全く意味を成さない。
 年収15万円以下の人達がいるなかで、平均年収1,000万円とか2,000万円といったクラスも同時に存在しているのだから、要するに、1つの国の中に、2つの市場、社会が同居しているようなものですね。

 よって、それだけでも日本の人口をもしのぐであろう「超裕福層」に対する、「中国にはまだないけど日本ではある高級サービス」なんかが狙い目だと著者は言います。

 なるほど。中国に住んでビジネスをしている日本人が言うのだから説得力があるね。

 新書ゆえに、細かいトピック(例えば起業にあたっての法整備がどうだとか、そういう話)は殆どなく、どっちかというと、中国人気質とか、中国の文化とか、中国の「今」みたいな、「地球の歩き方」から観光情報を撤去したような内容になっております。

 この辺が「タイトルに釣られちゃった」と評する所以。でも楽しく読めましたので単純な批判じゃないですよ。


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