本を片手に街に出よう -7ページ目

花月 嵐(池袋)

花月 嵐 池袋のジュンク堂は売り場面積2000坪をほこる同書店の東京における旗艦店。そこに立ち寄って駅に戻るすがら、花月 嵐に立ち寄りました。
 このラーメン店は全国展開しているチェーン店で、ラーメンもトッピングも種類が多いのがウリです。

 ニンニクげんこつラーメン¥620-。お店の定番を注文し待つこと数分。
 疲れているときにはカナリ効きそうな、パンチのある背油ガンガンのしょうゆとんこつスープに、好みの極細ではないものの、硬めなところがポイント高い麺を伴って、颯爽と登場。

 ご飯がほしくなるのをぐっとこらえつつもソッコーで平らげ、わざわざ摂取した油を何とか消費すべく、いつもより一駅前で降りて歩く冬の一日でした。

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【小説】クライマーズ・ハイ





横山 秀夫
クライマーズ・ハイ



角川エンタテインメント
クライマーズ・ハイ


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内容(「BOOK」データベースより)
1985年、御巣鷹山に未曾有の航空機事故発生。衝立岩登攀を予定していた地元紙の遊軍記者、悠木和雅が全権デスクに任命される。一方、共に登る予定だった同僚は病院に搬送されていた。組織の相剋、親子の葛藤、同僚の謎めいた言葉、報道とは―。あらゆる場面で己を試され篩に掛けられる、著者渾身の傑作長編。
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 近年、整備不良出しまくりでブーイングを浴びつつ、最近はなんかもう資産切り売りで、なりふり構ってない感じの日航ですが、まさにその日航がおこした「ほぼ人災」、この本で取り上げられている墜落事故は、衝撃的な出来事でした。

 なんせ現場は山の上。最初は墜落現場がどこかさえ分からぬまま、現場にレスキューが到着したのは14時間後だったそうです。
 524名のうち生存者は4名だけでしたが、自衛隊のヘリに吊り上げられて救出される生存者の映像は、今でも忘れません。

 そんな状況のなか、新聞社は壮絶な報道合戦を繰り広げていたんですね。

 現場を見た記者の書く雑感の迫力。新聞社社内の勢力争いや、くだらない嫉妬や妬みによる記事掲載の見送り、一面記事の取り合い。

 主人公はもともとドロップアウト気味なアウトロー。ベテランなのにデスクにもならず、いつまでも記者という現場にこだわり続ける。そんな主人公が、半ば上司からの最後通牒をつきつけられたがごとく、墜落事故の全権デスクに任命される。

 若い記者を現場に走らせる。墜落現場は登山素人には厳しい山奥。当時は携帯などないので、登山して現場を見た後は、下山して記事を電話で伝えねばならない。
 締め切りが迫る。地元の事故報道なのに地元記者の言葉ではなく、共同通信から配信された記事を使わねばならないのか。
 そのとき電話が鳴った!

 流石、元地元の新聞記者だけありますね。
 新聞の裏側を余すことなく描くとともに、記者同士の絆や葛藤、軋轢を浮き彫りにします。大人の世界だな~

 複雑だったのが、記事作りに躍起になっている主人公に写真週刊誌をつきつけ、「これ(写真)の威力には勝てねーよ」とすねる編集者。

 確かに。自分もリアルタイムで救出映像や事故写真を目撃した世代です。当時はまだ新聞などあまり読んでませんでしたけど、映像の衝撃に比べるとやっぱり活字媒体はどうしても分が悪い。

 しかし、この物語を読むと、活字の世界もやりがいがありそうでいいな~と思います。

 主人公をはじめ、登場キャラは絵に描いたような複雑な不幸を背負ったステレオタイプ気味だったりはするのですが、元記者ならではの、無駄な形容や装飾がない筋肉質な文体で淡々と語られる数々のエピソードに、仕掛けと分かっていながらもほろ苦い泣きを誘われてしまいます。

 ハッピーエンドとはいえないですが、何とも言えない読後感もいい。

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【読み物】失敗の本質―日本軍の組織論的研究



戸部 良一, 寺本 義也, 鎌田 伸一, 杉之尾 孝生, 村井 友秀, 野中 郁次郎
失敗の本質―日本軍の組織論的研究


 いやあ、なかなか読み応えがありました。

 いわゆる太平洋戦争における5つの有名な戦闘をキーワードに、なぜ日本軍の作戦が失敗(=敗北)したのか、戦略的、組織論的なアプローチで、まじめに研究したものです。

 経営者はもとより、部下を持っていたりチームを預かったりしている人、つまり、少しでも経営的な視点を必要とする現代人には、おすすめです。

 ノモンハン事件ミッドウェー海戦ガダルカナル作戦インパール作戦レイテ海戦沖縄戦、の6つのケース(いずれも日本軍の大敗北におわる)を題材にして、いったい何が敗因だったのかを単純に「物量が…」とかではなく、グランドデザイン、戦略立案、目的設定、組織構造、管理システム、組織行動、組織学習などの観点から、日本軍の問題点、米軍の優位点を浮き彫りにしていきます。

 約400頁の前半、ほぼ半分は、6つのケーススタディについて詳細な経過と引き起こされた個別の問題、判断ミスについて淡々と分析。当時の断片的な情報源からよくここまで再現したものです。

 第xx軍、とか~師団、~方面軍とか、かなり大戦略チックというか軍事オタクな用語が沢山出てくるので、軍事の知識や興味がない人はちと辛い。

 ごちゃごちゃしていて分かんないところは読み飛ばし気味でも本書の価値は享受できるのでご安心を。

 前半部分でもかなり客観的な問題指摘の記述が織り交ぜられていますが、後半からは、怒涛の分析が開始。

 分析結果として述べられる日本軍の問題点とは、戦略の浅はかさ、目的設定のあいまいさ、情報伝達や補給の軽視、過去(日露戦争)の成功体験の呪縛による戦略および戦術の硬直性、教育機関の問題による学歴偏重、人情論・精神論の蔓延、年功序列・上級指揮層の高齢化、グランドデザインの欠如による兵器体系のアンバランス、などなど。

 うーん、どっかに似たようなことが…あ、そうか。高度成長期からバブル崩壊して経済戦争に大敗北した70年~90年の日本と、かなりダブってますな。

 若い経営者の会社はそうでもないでしょうが、年寄りの経営者が牛耳っている会社は、多かれ少なかれ「うんうん、わが社にも日本軍と同じ状況あるある!」って感じがひしひしと。

 実際、本書の最後のほうでちょっと強引に日本企業の栄枯盛衰との関連付けや、これからの日本のあり方などについて触れていますが、それをわざわざ指摘されなくとも、途中からはかなり実社会の問題点とダブらせながら読み進んでいたので、この最後の部分はいらなかったかもね。それくらい想像できるでしょ!ってコトだと思う。

 しかも、後半はしつこいくらいに客観的問題分析のリフレインだったので、最後に「主張」が入り込んだことで、ある意味、画竜天睛を欠いた気がして、なんだかもったいないです。

 何万人の命が散った悲惨な戦いだろうが、この戦争で受けた精神的ダメージは計り知れなかろうが、淡々と敗因を論理的に分析するスタイルに終始する!
 本書の趣旨としては、それが潔い気がします。


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味乃宮川

味乃宮川 今日は味乃宮川へ。百選会の築地宮川とは別物です。

 ビックカメラのテレビCMで有名な、池袋のなぜか西口にある東武百貨店レストラン街SPICEにある店です。

 SPICEってのは百貨店のレストラン街には珍しい5フロアを占める大きさで、流石は当時売り場面積日本最大を誇った東武百貨店ならではの豪快なレストラン街です。

 さて肝心の鰻はちょいと硬めで、タレも甘め。よって自分の好みからは若干遠いのですが、まあ疲れているときは甘めでもいいですね。

 米は少し改善余地ありな気もします。感覚的かつ主観の問題でもありますので、気にならない人はならないでしょうけど、米好きとしてはこだわりたいところです。

 むしろ気になるのは、開放された入り口から聞こえる外のざわつきと、レストラン街以外のフロアの閑古鳥っぷりかな。

 きっと、百貨店っていうのは、もうその歴史的使命を終えたのでしょう。

 こんなんじゃいっそビックカメラとかドンキホーテをテナントに入れたほうが良いかもよ?

 上¥2,100-


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【読み物】「豊かなる衰退」と日本の戦略―新しい経済をどうつくるか



横山 禎徳
「豊かなる衰退」と日本の戦略―新しい経済をどうつくるか

 時期遅れの大掃除をしたら、タンスの奥から発掘されたこの本、もう一回読み返してしまいました。

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出版社/著者からの内容紹介
 どのように経済を以前のような高い「成長」路線に戻すか-という議論が続いているが、そうした発想の根底には発展途上国的メンタリティがある。人口が減り高齢化していくこれからの日本では、「成長」の神話、幻想と決別した上で、新たな経済のモデルを模索せねばならない。日本が進むべきは、「豊かなる衰退」であり、「大人の成長」である。寿命の尽きたシステムを捨て、新しい経済を組み立てるためには、何が必要なのか。本書では、具体的に3つのアイデアを提示しながら、日本経済の「次のステージ」を描く。経済を「建築的視線」で組み立て直すという点が極めてユニーク。

内容(「BOOK」データベースより)
 新しい経済をどうつくるか。人口減少・高齢化…その中で実現できる「成長」とは?新たな「社会システム」のデザインとして3つの具体的施策を提示。

内容(「MARC」データベースより)
 人口減少・高齢化…その中で実現できる「成長」とは? 新たな「社会システム」のデザインとして3つの具体的施策を提示する。現実を直視し、創造的工夫へと発想を転換せよ!

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
 横山 禎徳
 1942年広島生まれ。社会システムデザイナー。独立行政法人経済産業研究所上席研究員。オリックス(株)社外取締役等を兼務。東京大学工学部建築学科卒業、ハーバード大学大学院修了(都市デザイン修士)、マサチューセッツ工科大学大学院修了(経営学修士)。建築設計事務所を経て、75年にマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。87年にディレクター就任し、89~94年は東京支社長を務める。2002年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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 いや、読みやすいのは良いんだけれど、実現性において厳しい提案であるような気がする。

 いろいろ問題点を指摘して、そのあとに著者が主張するのは、

(1)一人二役…仕事場に近い都会に住みつつ、田舎にもセカンドハウスを持って趣味に生きる。そうすりゃ消費も増えるでしょ!二役しやすいように週休3日にしたらどうよ?

(2)二次市場…要するに中古市場ですわ。特に住宅は使いまわしてリフォームすりゃ価値があがる世の中にしていこうよ、みたいな。

(3)観光立国…言わずもがな。

 なんですが…

 今までみたいに横並びで産業主体の成長思想では駄目!っていう基本的な前提認識は同感。そこは同感なんだけど、上の3つの主張はちょっと微妙。


 (1)は金持ちの妄想としか思えない。いったいどれだけの人がそれを実現できるのか?に加えて、家×2だから家具や電化製品も×2で消費増!ってのはちょっと眉唾ですな…

 都心にいたって趣味に充実した人生を送っている人はいるし、田舎なんてよそ者に冷たそうだし近隣の住民との軋轢がより多そうだし、そもそも不便でやだ、って人だっているだろう。っていうか、そういう人が多いから一極集中しているんじゃないの?

 いま、派遣社員やアルバイトやパートが多くなってきている。ってコトは、いちいち週休3日を制度にしなくても週休なんて3日でも4日でもシフトが選べる時代になっていくんじゃない?収入が足りなければ副業すればいいんでしょ?どっちかというと、そういった正社員じゃない人たちへの制度的差別を改善する方向で考えれば良いのでは。

 たとえば扶養控除の問題とか、100万(103万)の壁のせいで意図的に働くのを抑制している人がいるとするならば、改善の余地があるんでないの?とか。あと健康保険や、年金なんかも改善の余地はないか?

 使う側だって、能力や意欲の高い人を、正社員かどうかに関わらず、どんどん使えたほうがいいでしょ?


 (2)はおおむね賛成。この狭い国土だと仕方がないのか、はたまた建設業や不動産業などで食っている人達の比率が多すぎて、歩留まりが低いからなのか、衣食住のうち「住」だけは激しく高いですよね。
 でも住以外、衣食は、無駄に贅沢を望まなければはっきり言ってすごく安い気がしますけど。

 どっちかというと、二次市場っていうより、金を払う対価として所有移転、っていう概念ではなくて、利用権、っていう時代に、何もかもがなっていくような気もします。

 新品だろうが中古だろうが、一戸建てとか車の所有そのものが、すでに高度成長の「モノが持てると豊かだ」的な発想で、時代遅れな感じが、最近すごくしています。

 たとえば、車なんて都心に住んでいて月に数回乗る程度だったらそもそもいらなくて、レンタカーでも良いわけでしょう?買い物が少し遠いだあ?歩け!ってのが現代の病的日本人には必要なワケで。


 (3)も賛成なんだけど、電線埋めるとかそういう自虐的かつ結果的に土建的発想がやだ。たとえば東京都内の電線を埋めるのに幾らかかるの?しかもそれで景観以外に何が得られるの?工事屋さんがバブル的に儲かって、しかも毎年ほじくり返されることウケアイなんでしょ?きっと。

 東京なんて当分ごちゃごちゃでいい。数ヶ月も住めば外国人だって慣れて文句言わなくなると自ら書いているワケだし、根本的に人と欲望の規模が大きい東京では、延々解決しないであろう景観のことばかり真っ先に気にするより、便利になるような機能のことを気にしてほしい。

 前にも似たようなことを言ったけど、たとえば都心の山手線沿線以内くらいの地域では、

・東京メトロの駅番号みたいに、JRや、道の信号機にも全部番号つけて、地図や行き先案内と連動させるとか、
(さらに信号にRF-IDをつけて電波とか出して、PDAかなんかにレシーバつけて、信号の近くに行くと地図と連動するとか、どうかなあ。それで持っていない人には貸し出しをするとか)

・電車の各駅に各国語対応の地域案内端末コーナーをおくとか、
(鉄道会社は、反則に近い駅ナカ戦略でいろんな他業種を地の利で圧倒しているんだから、タダでおけ!JRは特に。)

・街ごとに特化した外国語ガイドサービスの勃興を推奨するとか、
(たとえば世界にも有名な渋谷や原宿や秋葉原などには時間貸しの専用ガイドがいてもよいと思う)

・日本(観光)入門的な映像番組をインターネットで各国語向けに配信するとか、
(歴史とか名所とか慣習とかハウツーとか流行などを、ドラえもんとかにナビゲートさせる。外国の子供達にまず好きになってもらう。マクドナルド/戦後給食制度と似た戦略)

・逆に我々が外国人の習慣や考え方などを学べる番組をTVで流すとか、
(下品でくだらない番組が、あっていいけど、多すぎる)

 そういった、そもそもまず、外国人が来やすいような心遣い、というものに時間と労力と金をかけるべきだ。

 美しくありたいという願望は分かるが、良くも悪くもありのままの日本を理解してもらうってのも必要(隠しとおせるもんでもない)だし、なによりも、この国は外圧で変わってきた国である!外国人がいっぱい来て、電線ウゼエ!という声が多数になり、ちょっと恥ずかしくなってきたら自然に景観も良くしなきゃ!ってコトになるんじゃないの?



 なんてエラそうにだらだらと反論めいたことも書いたけど、根底の考えは賛成なんすよ。でも、社会システム設計っていう「上からの視点」ではなくて、利用者視点で機能設計していけば、おのずと利用者のニーズが答えを出すでしょう、というのが、これから風、な考え方だと思う。



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